10代から色んな場所を流れて来た。様々な場所で色んな人と触れ合って来た。
その土地に於いて親切にしてくれる人とも出会えて来たし、優しく出来た事もある。
期待されて厳しくされたり、逆に敵視され無視されたり…失敗もしたし、嬉しくて泣いたりもしたし、辛い経験も沢山した。
誰かの台詞じゃないけれど
"サヨナラだけが人生よ"
と体感する機会にも恵まれ、今ココに居る。
思い出の分だけシワも白髪も増える訳だ。
途中で真っ暗闇にハマってもがくのに疲れたからか、全く動けなくなった時もあった。
思い返すと…
人生の釜の底は、何というか…暗く淀んだオリの溜まる沼の様だった。
もう這い出る事は出来ないんじゃないか…
自分という人間は赦されないんじゃないか…
と約1-2年位だったかな、世間の人々が寝静まってから毎晩の様に飛行場跡地の公園を何キロも歩いていた。強歩ではないけど早足で止まらずに歩き回っていた。今程そんなブームは無いから側から見れば得体の知れない変な奴だったろう。
夜、暗くなってからしか外の世界に出れなくなってしまっていた。
でも、夜の大きな公園は変な人達〜つまり得体の知れない変な奴〜が必ず点在していて…
変なヤツや、変なグループや、変な犬や、木々達や、噴水やベンチ、芝生の丘や窪地を緩やかに区切る歩道…
それらの夜景の片隅を自分はスタスタスタと歩いていた。
数えきれない位の夜だけを早足で散歩していた。
我を含めてソレら全てが月灯りに浮かび上がる景色は、70年代アングラの野外演劇の様にも見えただろうし、はたまたバルテュスの絵画の様でもあった気がする。
ある晩その空に印象的な雲が浮かんでたんだ。
どんな雲だったか思い出すことなんて無かった。ここまではそんな10数年だったのだろう。
別の意味で走って来た気がする。
我が人生で初めて"背水の陣"だったからだろう。
さて写真は、先日一つの大きな仕事が終わり帰宅した夕闇に見上げた空。
いつか似た雲を見上げていた夜があった気がした。その事を久しぶりに思い出したんだ。
たまには振り返ってもいいじゃないか…
雲は又、流れてゆくね。